やましんの日々見聞録
 
身近に感じた出来事を文字と写真で綴ります
 



ドラマ「大仏開眼」を見て

左 小田郡矢掛町 吉備真備公園に隣接する吉備大神宮
右 倉敷市真備町 倉敷市まきび公園に隣接する吉備寺

NHKのスタッフプログへトラックバックをしたこともあり、「大仏開眼と吉備真備」ページへのアクセス数は凄いものがありました。特に、ドラマ放送直後は1時間だけで300近いアクセスを記録しました。(普段は1日で10アクセスもないんですが…)

ドラマ「大仏開眼」、私なりの感想です。(あくまで吉備真備に注目した視点です)
前編は少し飛ばしすぎかなぁという印象。
固有名詞が次々と現れるので、誰が誰なのか把握しきれず少し混乱しました。
お約束的にあると思っていた吉備真備の生い立ちや、遣唐使に選ばれた経緯、出航シーン、唐での一切のシーンがなく、いきなり船内から帰国シーンだったのも予想外。
主演の吉岡秀隆さんのややぎこちなく見える演技(それが持ち味でもありますが)や、17年間も日本を離れてたのに"中国臭"をほとんど感じさせない会話など、このドラマ大丈夫なのかなぁ…と、ちょっと心配しました。

ドラマを面白く感じるようになってきたのは、誰が誰でどんな考え方を持った人物なのかが分かってきた頃でしょうか。
憎らしいけどキレ者の藤原仲麻呂、欲望むき出しの玄ぼう、あの聖武天皇に女帝孝謙、そして高僧行基…。単なる家族描写だと思っていた吉備真備の妹まで歴史に大きく関わっていたというのは、恥ずかしながら初めて知りました。冒頭の妹と再会するシーンも意味があったんですね。

特に印象的だったのは、唐から鑑真和上を伴っての2度目の生還を果たしたシーン。前編の吉備真備とは別人のような逞しい表情で、仲麻呂に食って掛かります。何度も死線を越えてきた男の信念は、もう揺るぎないものになっていました。
ここまで見ると、このドラマの吉備真備は吉岡さんの適役だと思うようになりました。
吉岡さん演じる前半の悩める吉備真備のイメージがあればこそ、ここからのシーンが一層映えるのです。

ドラマのほとんどは吉備真備の「耐えがたきを耐え…」という展開でしたが、最後についに己の封印を解きます。本場仕込みの兵法や、自身が唐から持ち帰った囲碁における戦術論に基づき、冷静に、いや冷徹に、仲麻呂を追い詰めていきます。軍事策士としての吉備真備の姿を垣間見るこのシーンは鳥肌モノ。

ちなみに「藤原仲麻呂の乱」時、吉備真備は実際は70歳でした。
(735年の遣唐使帰国以来30年も仲麻呂とやりあってたとは…)
本来は老年の吉備真備を演じる役者にバトンタッチすべきなんでしょうが、あくまで吉岡さんが演じます。どう見ても70歳には見えませんが、ここで役者が変わってしまうと、ドラマ最大の見せ場を攫われちゃいます。さすがにそれは気の毒ですから、ここは黙認してあげましょう。

で、そろそろ結論を書くと、予想した以上に面白かったです。吉備真備を知らない人でも十分に楽しめたんじゃないでしょうか。
弓削道鏡と女帝孝謙の関係など割愛されている箇所はあるものの、まずまず実史に基づいたストーリーだったのが良かったです。大仏建立の経緯、それぞれの思惑、吉備真備の関わりなど、文献を読む以上に理解できました。

でも計3時間では足らなかったですね。
仕方ないとはいえ、唐での阿部仲麻呂との絡みなど、ここをすっ飛ばすのはもったいない気がします。吉備公が大いに影響を受けたであろう鑑真和上との絡みも見たかったですし、筑前守・肥前守時代の話も興味があります。
この先、いよいよ本領を発揮し右大臣にまで上り詰めていく過程も割愛され、「さあここから吉備真備のターン」というところで大団円となってしまいました。吉備真備ファンとしては、右大臣としての誇らしい姿を一目見たかったんですが…。


今回のドラマは「吉備真備 大仏開眼編」ということですね。
吉備真備については、まだまだ知るべきことの多い人物です。今後も吉備公を取り上げたドラマや歴史番組が放送されることを大いに期待したいです。


琴弾岩(ことびきいわ)
吉備公が右大臣の任を解かれたのは771年3月、齢76歳のこと。
その後775年の10月2日、81歳でこの世を去ったと伝えられる。
生涯のほとんどを国と民衆のために尽くした吉備公が、晩年故郷(現真備町)に帰り、小田川沿いにあるこの岩に座り、名月の晩に静かに琴を弾いたという言い伝があります。
毎年中秋の名月の晩には、吉備公を偲んでこの岩の上で琴と尺八による演奏会が行われます。
晩年の吉備公は、星空の下、この小さな岩の上で何を思ったのでしょうか。

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4月20日(火)00:13 | トラックバック(0) | コメント(0) | 吉備真備 | 管理

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